「能楽勉強会」事務局が選ぶ
オススメの能楽&解説書

初めてお能を観る人のために おすすめの演目

1 とにかくビジュアルが一番!派手好みの人には、
  「石橋」
一言で言えば、牡丹獅子。半分に、はしょってあることが多いです。
ストーリー性を追求してはいけません。
(所要時間 普通後場のみ上演にて25分)

2 幽玄っぽい雰囲気にあこがれる元文学少年・少女達には、
  「清経」
トレンディ系です。
夫婦の哀しい恋物語というところ。
肝心の清経がちょっと軟弱だけれど、ま、そうでなければお話にならないので許しましょう。
生々しい表現を避けるお能には珍しく、夫婦揃って面をかけた役者が演じます。
(所要時間 1時間10分)

3 もともと源氏物語がすきでさあ、という人には
  「葵上」
「葵上」と言ってもといっても、主人公は六条御息所です。
こわいですねえ…御息所。後妻打ちにくるんですねえ。
般若の面の持つ二つの魅力、情念の迫力と究極の哀しさを観てみたい人は是非どうぞ。
(所要時間 1時間)

4 平家物語の世界に入ってしまいたい人には、
  「船弁慶」(前述「清経」もおすすめ!

ビジュアル系に片足踏み入れてます。
前場は静御前、後場は平知盛が主人公。
大河ドラマの定番。いちお義経も弁慶もでてきます。
前場は、静と義経の美しく悲しい別れの場面。
後場は知盛がなぎなたを振り回します。
(所要時間 1時間25分)

5 話がわかりやすいのが第一で、ビジュアル嗜好の人には
  「安宅」
一言で言えば、武蔵坊弁慶大活躍、「勧進帳」です。
(所要時間 1時間30分)
6 話がわかりやすくて、幽玄なのがいい人には、
  「羽衣」
三保の松原で漁師が天女にであったって言うあのお話。
ちょっと違うけどね。
(所要時間 1時間10分)  

7 話がわかりやすくて、怖い話がいい人には、
  「安達原(黒塚)」
昔話で一度は聞いた、寝床に旅人の骸骨を山積みしてある鬼女のお話。
おお、こわあ。
(所要時間 1時間15分)

番外 めったに出ないけど、チケット高いけど、ちょっと寝る時あるかもしれないけど。。。
    「道成寺」
「うわあ」と思う瞬間があるお能です。
能役者はこの曲を舞って一人前!なのだそうです。
HPで真っ先に特集したからね、興味ある人は観てください。
ご存知、安珍・清姫のお話です。(所要時間 2時間)

ただね、前場の主人公が、落ちてくる鐘に飛び入る前に、乱拍子というのを踏みますが、これがちょっと眠いかも…。

各演目の所要時間は、「能の事典」(三省堂 戸井田道三監修)によりました。


お能の本いろいろ

1 事典的なもの
◎「岩波講座 能・狂言」(岩波書店 いろんな人が書いてます)
初心者向けとは言えないけれど、とりあえず能のことなら、なんでもわかる本。
何冊にも分けて、いろいろの面からアプローチしてあります。
◎「能の事典」(三省堂 戸井田道三監修)系の本
能楽鑑賞のお供に、能楽堂へ携えていきたい本。
とりあえずのことは網羅してあります。
◎「まんが能百番」(平凡社 作画渡辺睦子 解説増田正造)
あらすじやら曲の内容を、手っ取り早く理解するにはなんと言ってもこの本。
忠実に面白く紹介してあります。

あと1冊・・・、
◎「能の見どころ」(玉川選書 中森晶三)
演者の立場で書かれています。


2 能という芸術についてのエッセイ

◎「能 神と乞食の芸術」(せりか書房 戸井田道三)
私のイチオシです。
能に魅力を感じ始めたときに読むと、ぐぐっとくる本です。
◎「能 現在の芸術のために」(新曜社 土屋恵一郎)
ちょっと個性的な視点を持った本です。
が、「一調二機三声」についてのくだりなど、面白かったような…。
◎「心より心に伝ふる花」(白水ブックス 観世寿夫)
能のキーワードのひとつ「花」を知るヒントを得られそうな気がする本です。


3 演目についてのエッセイ

どちらかと言えば、能についてのエッセイよりもとっつきやすい本が多いかと思われます。
 
◎「女の能の物語」(淡交社 筒井曜子)
珍しくカルガモパパも読む気になったこの本。
女面についてのエッセイと言ってもよいほど、面についてもちょっと楽しめる内容になっています。
◎「能に就いて考える十二帖」(東京書籍 林望)
素敵な写真もたくさん載っています。
各演目ごとにテーマを絞って書いてあり、知らない間に頁が進みます。


4 雑誌など

◎『月刊観世』
いきなり読むのもどうかと思いますが…いちお。
◎『別冊太陽 能』同じく『別冊太陽 道成寺』
初心者からかなり鑑賞歴のある人まで面白くできていると思います。



(文責:雲井カルガモ)


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