初番目物(神様物) 「賀茂」 京都の人にはなじみの深い上賀茂神社、下鴨神社の縁起のお話です。あらすじなどを呼んでもちょっと混乱しそうですが、前場、後場とも華やかで、見応えがあって、あまりすじがわからなくても神様物の雰囲気、というのはわかっていただけると思います。 能の雰囲気をつかむのに良いのではないでしょうか…。 二番目物(修羅物) 「屋島」「清経」 この2曲は甲乙つけ難く…、いや、ただ自分の好みなんですけどね。歴史マニアの方なら(でなくても?!)ご存じの源義経、平清経(清盛のお孫さん)のお話。智者は惑わず、勇者は懼れずはいつも私の心の中にある言葉ですし、清経がかっぱと投身するシーンなんぞは鳥肌ものです。 とりあえず見るもよし、いろいろ勉強して見るも良し。人間の哀しさが肌で感じられると思います。 三番目物(鬘物) 「松風」「熊野」「羽衣」 なんだか月並みになってしまいましたが。でもやっぱり良いものは良い! 「熊野・松風に米の飯」と言われるほどあきのこない人気のある曲です。鬘物=辛気くさいというイメージがあるかもしれませんが、初めての方には良いのではないでしょうか。 又、演者による解釈のちがい、などを見てみてもいいかもしれませんね。 個人的には松風の月の下で汐を汲む風情、これまでなりや、嬉しやな、と晴れやかに母のもとへ帰っていく熊野のキリが大好きです。 四番目物(雑物) 「百萬」「班女」「弱法師」 あまりにも多くて悩んだのですが。それぞれにいうと、百萬「これかや春の物狂」という言葉の通り、春の嵯峨の華やかさと裏腹に物狂の哀しさが何ともいえず良いのです。 班女は狂言口開。野上の宿の長に追い出される花子の悲哀感、いじらしさがたまりません。 弱法師はとにかく謡がいい! 満目青山は心にあり。 いつもそのようにありたいものです。 番外 「葵上」「松虫」 般若+祈が好きなだけで。(笑) 松虫はこないだ舞囃子をさせて頂いて、この風流心は捨てがたいわね、と思ったので。 五番目物(切能、鬼能) 「小鍛治」「車僧」「石橋」 石橋は言わずと知れた…ですが。 小鍛治はあの祇園祭の長刀鉾の長刀を打った小鍛治宗近のお話です。お稲荷さん万歳!の曲ですが、狐戴をのせ、ワキとちゃうちゃうと剣を打つのは見ててどきどき、わくわくします。 車僧はとにかく面白い!シテとワキの禅問答の意味はわからずとも、天狗のビミョーなあせり具合、アイの木葉天狗で笑って下さい!! 番外 安達原 人間の業とは?を深く考えさせられます。ありのままを受け入れること、素直になること…は難しいですね。 ご高覧ありがとうございます。 以上、松井の独断と偏見でお送りしました。 |
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