今月の特集曲

使用する面
能面−十寸髪の苦悩

前シテ 若女
後シテ 増女or十寸髪

 あっもう、この世には、女を苦しめるものが多うございます。義仲殿のおかげで、私はずーっと苦しまされている。男のプライドのせいで。・・・・・いえ、分かってはいるのです。死なせるのは気の毒と思って下さったのでしょう。けれど!!!

 ヒステリックにもなりますっ。ほんとは、こんな私じゃないんです。思いっきり眉間にシワがよってしまって、口元だってうつろな感じ。すこぅし哀しい。いっそ物狂いに・・・と思いますもの。

 けれど見ようによっては、神がかりなようで、ちょっと微妙。ただ、いずれにしても本来の自分とは、ちょっとはなれているのでしょう。

 やっぱり、さびしい。

(小梅)

元になった和歌
今回は西行法師の

なにごとの おはしますとは 知らねども かたじけなさに 涙こぼるる

をとりあげます。

謡の中では、行教和尚が宇佐八幡に詣でた時の和歌となっていますが、その典拠はわかりません。
この和歌は、西行法師が伊勢神宮に詣でたときの和歌としても知られていますが、それも確実な根拠はありません(『山家集』には載っていないので)。
ただ版本の『西行法師歌集』にはこの和歌が載っているので、作者ではない、とも言い切れないのが事実です。
行教和尚作者説と西行法師作者説の2つがあるのでしょうが、もしかしたら行教和尚作者説の方が、古くから言われているのかもしれませんね。

(文責:とりあ)

[ 「巴」トップへ] [ HOMEへ ]

能楽勉強会