今月の特集曲

「巴」の内容
記録以外のスポーツ面
〜あの名選手はいまいずこ? in謡曲『巴』〜


源平合戦の時代、乗馬及び弓道をはじめとする女子武道界で、卓越した実力とその美貌で一世を風靡した巴選手は、恋人と噂された源義仲氏の敗北後、引退し、忽然と姿を消してしまっていたが、先頃、同選手に出会ったという旅僧が現れた。

◆旅僧の話。
私は、上洛途中の1月、近江国粟津が原(現滋賀県大津市)で休暇中、神前にて落涙していた同選手と思われる女性と出会いました。
この女性は、私の問いに対し、行教和尚が宇佐八幡神を男山(石清水)に勧請した故事を語り、また私が木曽の山家出身と聞くと、同郷の源義仲氏を弔ってほしいと要請しました。
そして、自分は亡霊であると名乗って、草蔭に姿を消してしまいました。
それで私は夜中にかけ、源義仲氏を弔っていると、同選手が現役時代の甲冑姿で現れ、自分の奮戦を再現し、また源義仲氏との別離の様子をも語りました。
その上で、自分の就寝を弔ってほしいと告げたのでした。
私は、颯爽とした殺陣、源義仲氏に対する哀惜の風情から、この女性が同選手に相違ないと思います。

(文責:めぐ)

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