「東北」の内容 |
恋多き女性として世情を騒がせた和泉式部と見られる女性が目撃された。 早春、都東北院(京都市左京区浄土寺真如町)内の通称「鶯宿梅」あるいは「軒端の梅」の木陰において旅僧が和泉式部と称する里女と言葉を交わした模様である。 目撃者である同旅僧によると、門前の者より聞いた和泉式部女史の物語とも符合するので、里女が同女史に相違ないと証言している。 但し、同旅僧より更に詳細な話を聞いたところ、同女史と目される女性は後に上臈姿で出現しており、更に自らが歌舞の菩薩となった話、和歌の徳等を讃えた上に果ては美しく舞ったというもので、同証言内容は俄には信じがたいものがある。 同旅僧が夜もすがら読経した為に睡魔に襲われた末の夢の話とする方が妥当のようである。 (文責:めぐ) |