今月の特集曲

「隅田川」の内容
悲嘆の中の三面記事
〜母の執念実らず in謡曲『隅田川』〜


 人商人による誘拐事件以降、行方不明となっていた都北白川(現京都市左京区北白川)在住の梅若丸君の死亡がお母さんの執念の探索により判明した。

 梅若丸君のお母さんの話
 3月15日、武蔵国隅田川(現東京都墨田区隅田町)にて大念仏会が開催されていました。
 同大念仏会に際して、子の行方を探す私は物狂と云われ、隅田川の渡守にも乗船を拒否されました。
 しかし、私は『伊勢物語』を引用する等して、渡守との問答の末、乗船しました。
 その船中、私は渡守と旅人の会話より、同大念仏会が人商人に連行された末、病死した子の回向会であり、その子こそが梅若丸であると知りました。
 私が号泣したために、渡守が梅若丸の供養塚に案内してくださりました。私の念仏に誘われ、幽界より梅若丸の声は聞こえ、又その姿が幻の如く出現しました。
 しかし、それらは夜明けとともに消失してしまいました。

(文責:めぐ)

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