今月の特集曲

渡辺綱(953−1025)

嵯峨源氏の源宛(あつる)の子。摂津源氏の源満仲の娘婿の源敦の養子となる。母方の里である摂津国西成郡渡辺(現在の大阪市中央区)に住んでいたことから渡辺氏と称した。

摂津源氏の源頼光に仕え、坂田金時、平貞道、平季武らとともに四天王の1人に数えられ、剛勇で知られた。
頼光に従って酒呑童子や鬼同丸を退治した話や、一条戻橋の上で羅生門の鬼の腕を切り落とした話で有名である。

その子孫は渡辺党と呼ばれ、内裏警護に従事する滝口武者として、また摂津国の武士団として住吉(住之江)の海(大阪湾)を本拠地として瀬戸内海の水軍を統轄し、源平の争乱から南北朝にかけて活躍した。


元になった話

摂津源氏の源頼光の頼光四天王筆頭の渡辺綱が夜中に戻橋のたもとを通りかかると、美しい女性がおり、夜も更けて恐ろしいので家まで送ってほしいと頼まれた。綱はこんな夜中に女が一人でいるとは怪しいと思いながらも、それを引き受け馬に乗せた。
すると女はたちまち鬼に姿を変え、綱の髪をつかんで愛宕山の方向へ飛んで行った。
綱は鬼の腕を太刀で切り落として逃げることができた。腕は摂津国渡辺(大阪市中央区)の渡辺綱の屋敷に置かれていたが、綱の義母に化けた鬼が取り戻した。
『平家物語』剣巻 より


(文責:とりあ)

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