 使用する面 |
| 能面−三日月のかなしみ だいたいが、ヌエなんて、見た奴はおるのか、実物を。ワケの分からん生き物の亡霊（後シテ）の更に化身だと。ふざけるな。まったく、ほんとに、私は何者なのだー。 ヒトによって退治されたヌエは、ヒトによって本当に成仏させてもらえるのか、信じられん。ひねくれ者と言われてもかまわん。苦しいのだ。しんどい時こそ笑え、と言う輩もいるが、私は、そういうタチではない。そもそもそんなところには思いも及ばない。 だいたい、私の顔を、世間はちゃんと分かっているのだろうか。異様な風体、異様な髪型。あまりにも現実味がない。ヒトとは一線を画している。でもヌエにも感情はあるようだ。なら、私にもある。 勿論、悩みのない人間なんて、ほんとうはいない。自分が人間かはともかく、それは分かっている。それぞれ、何とか乗り越えたり、ガマンしたりして生きている。でも、知らないフリも、なかったことにもできないんだ・・・。私は何者？ふん。 （小梅） |
