今月の特集曲


 「野守」の内容

経済面
 〜 地獄界の就職も超氷河期? in謡曲『野守』版


 長期不況の下、高い失業率に対する雇用対策は、政府の緊急課題の一つであるが、これは人間界のみならず、地獄界においても共通のようである。
 閻魔府においても、人間界の不況のあおりを受けて「三途の川」での世紀の「渡し銭」並びに『○○の沙汰も○次第』の機密収入は減収の一途をたどっていたが、人間界より一足早く構造改革を断行したため、大量の失業者を生むに至った。

最近解雇された鬼神さんの話
「人間界において、この強面のおかげで幸運にも、春日野の里(現奈良市春日野町)の野守の職を得ました。本当に何が幸いするかわかりません。とは云え、鬼神姿では余りにもインパクトがありすぎますので、昼間は野守の老人の態で観光案内を科ね、夜間は本来の鬼神の姿で野守の職に専念しています。」

これより本題
出羽国(現山形県)羽黒山の山伏さんの話
「早春、大峰葛城山への参詣の途中、春日野の里に立ち寄った際、老人姿の野守さんより“はし鷹の野守の鏡・・・”の和歌の由来となった名所「野守の鏡」の故事や本当の『野守の鏡』のお話を詳しく伺いました。更に老人姿の野守さんが消えた塚で祈祷していると夜中にもかかわらず、その地の里人さんより聞いていた通り、鬼神姿の野守さんが出ていらっしゃって、天地四方八方を『野守の鏡』で写して見せてくださいました。鬼神さんは本当に神出鬼没のお働きでした。」

(文責:めぐ)

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