今月の特集曲

あらすじ

人物
前シテ:貴女(化身) 前ツレ:侍女(化身)  後シテ:鬼女
ワキ:平維茂 ワキツレ:従者
アイ:供女、男山八幡宮末社の神

あらすじ
秋も半ば、信濃の国戸隠山で数人の侍女を連れた上臈が酒宴を始めた。
そこへ平維茂が通りかかり、何事かと供のものが女たちに尋ねにいくと、忍びの紅葉狩りとのこと。維茂が邪魔をせぬように通り過ぎようとすると、女達はそれを引きとめ酒宴に誘う。
維茂は盃を重ね、女達の舞を見るうちに寝入ってしまう。すると、女達は目をさますなよ、といいながら消え去る。<中入り>
維茂が寝入っているところに男山八幡宮の末社の神が現れ、維茂に神剣を授け鬼神を退治するように神勅を伝える。
維茂が身支度をして待ち構えるところに、雷鳴とともに鬼女が現れ、格闘の末、維茂は鬼女を切り伏せる。


紅葉狩伝説

時は平安、937年秋、会津に住む伴笹丸と妻菊世が、人間の欲望を支配する外道の神とされる第六天の魔王に祈願した結果、紅葉はこの世に生まれる(ちなみに織田信長は第六天の魔王の申し子と自称)。
やがて、笹丸は美貌の娘を貴族に嫁がせて出世する目論見で京へと上り、紅葉はその琴の腕前を買われて源経基の正妻のもとに奉公する。
そして紅葉は正室の地位を手に入れるため経基の正妻を暗殺しようとするが、発覚。比叡山の僧に姿は花だが心は鬼と告げられ、956年、戸隠山中に流される。
戸隠山で初めは穏やかな生活を送っていたものの、やがて鬼の本性が現れ、山賊たちと徒党を組んでの食人集団となる。そこで紅葉を中心とした山賊を討伐する命を帯びて平維茂が紅葉と対決し、討ち取るに至った、と伝えられている。

鬼女紅葉の伝承のある戸隠山麓の村々には、鬼の塚と呼ばれる五輪塔や、紅葉が棲んでいたとされる鬼の岩屋などがある。
大昌寺には紅葉と維茂が一緒に祀られている位牌がある。

上の伝説は北向山霊験記に拠ります。

(文責:小梅)

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