「松風」の内容
芸能スクープ
〜熱愛発覚!? in謡曲『松風』〜


 故在原行平氏(弘仁9年〜寛平5年、正三位中納言。阿保親王の子、業平の兄)が、流刑地の須磨の浦(現兵庫県神戸市須磨区)にて、同地の海士松風・村雨姉妹と熱愛関係にあったことが発覚した。
 情報通の旅僧(西国下向途中、諸国一見希望)が、秋の夕暮れ時、須磨の浦通過中に前期行平氏の熱愛相手と目される松風・村雨姉妹の霊と出会い、公になった。

 同旅僧は、同姉妹の旧跡とされる磯部の松(同地浦人の話による)を弔い、近隣の塩焼小屋にて宿泊しようとしたところ、夜中にもかかわらず汐汲みをする同地の海士の二人連れと出会ったので、同海士達宅に宿泊すべく交渉した。
 同旅僧によると、同海士達は自身を悲嘆しつつ、帰宅の途についているところであったとのことである。
 同旅僧が、同海士達宅にて宿泊中、前記松につき話題にすると、同海士達が涙を流すので、同旅僧が問うと、自分達が話題の松風・村雨姉妹であると名乗った上で、前記行平氏とのことなど語った模様である。
 特に、姉松風は、前記行平氏の形見の烏帽子狩衣を手に涙を流し、更に物狂いの態で舞い、磯部の松に寄り添うに至った。
 だが、松風・村雨姉妹は、前記行平氏への恋の妄執から逃れるべく、同旅僧に回向を依頼した。
 但し、夜明けとともに松風・村雨姉妹は去り、松風の音を留めるのみであった。

(文責:めぐ)

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