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旅僧(ワキ)の前に僧体の「熊坂長範」の霊(シテ)が現れて、弔いを乞います。 その後、本来の盗賊の姿で、牛若丸と戦ってついに命を落とした顛末を語り、 消えうせてしまう、という二場物の夢幻能です。 前場は、シテとワキがともに、直面・僧体(角帽子、無地熨斗目、水衣)で登場する 珍しい作品。静かに物寂しく進行していきます。 後場は一転して迫力満点。シテは「長霊?見」(熊坂の後シテ専用の面。天狗に用いるような面で口をぐっと結び、眼球に金具がはめこまれている)をつけ、大薙刀を持って登場し、牛若との戦いのシーンを詞章にあわせて演じます。 作者は不明ですが、宮増(「烏帽子折」の作者)の作とする説があります。 また、この曲は古くは「幽霊熊坂」ともいいました。同じ出来事を題材にした「烏帽子折」(別名「現在熊坂」ともいいます)と区別するためでしょうか。 「烏帽子折」については、次回の特集をどうぞ、お楽しみに!! (文責 映) |