今月の特集曲

 「小督」の内容

愛の奇跡三面記事
 〜帝の恋のものがたり in謡曲『小督』


8月十五夜の頃、弾正大弼源中國氏により、潜伏先の山城国葛野郡下嵯峨(現京都市右京区嵯峨野)において、小督局さんの身柄の無事が確認された。

 小督局さんは、帝(高倉天皇)との熱愛発覚後、中宮(建礼門院徳子)の実父相國入道(平清盛)氏の弾圧を避ける為、突然失踪した後、その所在が不明となっていたものである。
 小督局探索の宣旨を携えた勅使が秘密裏に源氏に下されていた模様である。
 源氏によると、下賜された寮の御馬にて嵯峨野を巡回中、隠家の女主に琴を所望された小督局さんが、演奏していた「想夫恋」がかすかに聞こえて来たのが、今度の発見につながったとの事である。
 当初、小督局さんは、本人である事を否定していたようであるが、誠実な交渉の結果、帝と小督局双方の御文の授受が成立した為、名残の酒宴にて源氏が舞を舞い、帝の勅旨を無事果たして都へ戻って来たものである。
 帝も小督局さんも命がけの恋であるが、源氏にとってはそれ所ではない一夜であった。

(文責:めぐ)

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