今月の特集曲

「胡蝶」の内容
21世紀の歳時記
〜梅に鶯はもう古い? in謡曲『胡蝶』


 地球温暖化防止条約京都議定書の発行が危ぶまれているが、地球の温暖化は、身近な季節感にも大きな影を落としている。「梅に鶯」は古来より早春の風物詩であるが、近頃、このカップルに危機が訪れている。

 旅僧(奥吉野より都見物のため上京中)によると、早春、京都一条大宮(現京都市上京区一条大宮)の古宮において、満開の梅を眺めていると、胡蝶の精と称する都の女が現れ、荘子の蝶の夢の故事や『源氏物語』胡蝶巻等について語った上で、梅と胡蝶は季節を若干異にするので縁がないと嘆き、法華経の功徳で縁を得たいとも語ってから、夢の中での再会を約して消失してしまった。
 地元の人からも同地における胡蝶の話等を聞いた後、仮眠していたところ、約した通り胡蝶の精が現れ、法華経の功徳により、梅と縁を得たことを感謝して舞い戯れ、春霞に紛れ去っていったとの事である。

 現在、温暖化のためか否か確証されていないが、「梅に胡蝶」が定番となり得る勢いである。


(文責:めぐ)

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