「清経」の内容 |
回顧録 〜ゴースト 源平合戦の幻 in謡曲『清経』〜 私は夫、平左中将清経の臣淡津三郎が、夫の形見である鬢髪を私の許へ持ち帰りました折に事の詳細を話してくれましたので、夫が先の源平合戦の最中に豊前国柳が浦(大分県宇佐郡柳が浦村)にて入水自殺を致しました事を知りました。 私は、夫への恋しさ、怨めしさ、またこの世への悲しさが綯い交ぜになりまして、形見を手向け返してしまいました。 その夜、私が涙ながらにまどろんでおりますと、枕許に夫の霊が現われました。 夫は、私が形見を手向け返しましたことを咎めました。 私達は、恋の語らいとも、夫婦の諍いとも、また宿世への嘆きともつきません話を語り合いました。 夫は戦いの非情さを、或いは入水へ至りました思いをも語りました。 その後、後世の修羅道の有様をも見せましたが、入水時の十念の功徳にて成仏できましたことを告げまして、私の許を去ってゆきました。 (文責:めぐ) |