元になった和歌 |
今回は、 古き大和舞の歌 しもと結ふ葛城山に降る雪は間なく時なく思ほゆるかな(古今集 二十 大歌所御歌) よそにのみ見てや止みなん葛城や高間の山の峰の白雲(新古今集 恋一 読み人しらず) の2首をとりあげます。 この2首の和歌、実は、どちらも恋の歌なんです。 古今集の方は、 柴を束ねる「葛(かずら)」という名の「葛城山」の雪が止む間もなく、かといって何時と決まったときにだけ降るというのでもないように、あなたのことが思われてなりません。 というように、相手に対する思いを雪になぞらえています。 それに対して、新古今集の方は、初恋を詠んでいます。 遠くにあって、金輪際手の届かないものとあきらめるしかないのでしょうか。葛城の名も高間の山の峰にかかる美しい白雲のようなあなたのことを。 という感じでしょうか。どちらも、せつないですね。 謡の言葉としてみれば、葛城山の状況をいろいろと説明しているかのようですが、和歌として見てみると、また違ってくるのがよくわかります。 他の曲にもこういう和歌は隠れているはずですので、そういうことを気にしながら謡を聞くのもいいかもしれませんね。 (文責:とりあ) |