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4番目物 季節:11月 作者:不明 場所:大和 葛城山 素材:『日本霊異記』『今昔物語』『源平盛衰記』巻28 「役行者事」 前シテ:山女 後シテ:葛城の神 ワキ:山伏 |
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羽黒山の山伏が、葛城山で前後もわからないほどの雪に降られたので、木陰で休んでいたところ、笠を被り雪の枯れ枝を持った女が現われ、山伏たちを自分の庵に案内しました。女は火を焚いて山伏たちをもてなします。やがて山伏たちが後夜の勤めを始めようとしたところ、女は自分のために祈祷してほしいと言います。実は女は葛城の神で、その昔、役の行者にこの山の岩橋を架けるように言われたのですが、自分の醜い顔貌が恥ずかしく、橋を架けることができなかったのでした。女は「三熱の苦を受けているこの身を救ってほしい」と打ち明け、山伏たちに加持を頼んで、その姿を隠してしまいました。 山伏たちは夜もすがら祈祷しているところへ、葛城の神が現れ、祈祷を喜びます。縛られている姿や見苦しい顔ばせを恥ずかしく思いながらも、ここは高天の原であると言って大和舞を舞い、月下に白く冴える山々を描き出します。その後、葛城の神は、夜が明ける前に再び岩戸の中に帰っていったのでした。 |
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大和舞(観世・宝生・金春) 流派によって、少しずつ違う。 観世流は、雪山の作り物が出て、紅蔦をからませ、上には雪を乗せ、白の引き回しをつける。装束も変わり、作り物に中入りする。序之舞は神楽に変えるのが普通だが、イロエにしたり、短い特殊な序之舞にすることもある。 宝生流と金剛流は序之舞が神楽に変わるが、作り物は出さない。 装束は前シテが水衣から壷折(白練)に変わる。宝生流では、後シテが白の長絹に緋の指貫となる。 神楽(宝生・金剛・喜多) 宝生流では序之舞が五段神楽に変わり、金剛流では天地人の拍子を踏んで、神楽留となる。またキリの「高天の原の岩戸の舞」のところで短い舞が入る。 喜多流は神楽の3段目から序之舞の位に変わる。 |
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前シテ:水衣、無紅縫箔、腰巻、深井 後シテ:長絹(舞衣にも)、緋大口、天冠、増 ワキ・ワキツレ:兜巾、篠懸、水衣、白大口 (文責:とりあ) |