今月の特集曲

元になった和歌
「杜若」はどんな花?

アヤメ科の多年草で、日本・朝鮮半島・中国北部・シベリアを原産地とする。
初夏の頃、湿地に紫色の花を咲かせる。花びらの根元に斑点があるのが、あやめ。
「書きつけ花」からの転訛を名とし、万葉仮名では「加吉都播多」と書く。

万葉集巻17 No.3921で大伴家持は
詞書「天平16年4月5日に、独り平城の旧き宅に居て作る歌6首」の最後として
“杜若 衣に摺りつけ 大夫(ますらお)のきそひ猟する月は来にけり”と詠んでいる。
また『枕草子』「めでたきもの」の段で、清少納言は
“紫の花の中には、杜若ぞすこしにくき”と書いている。

(文責:めぐ)


「杜若」のファッション
ファッションにみる「杜若」 〜襲(かさね)の色目〜

『藻塩草』によると表の色は淡萌黄で、裏の色は、淡紅梅である。
他に、表の色を萌黄、裏の色を淡紅梅、また表の色を二藍、裏の色を萌黄か青とするマイナーな組み合わせもある。
イメージとしては、初夏の頃、青葉・若葉の中に紅梅色のつぼみを付けたばかりの杜若であろうか。
『栄花物語』には、「中宮女房の装束はただいと麗しく・・・、皇后宮のは菖蒲、楝、撫子、杜若など・・・」とある。
また『増鏡』には「出だし車に、色々の藤・躑躅・卯の花・なでしこ・かきつばたなどさまざまの袖口こぼれ出てたる・・・」と書かれて登場している。

(文責:めぐ)

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