今月の特集曲

「花月」について想うこと

 さて、この原稿を書くに当たって、久々に花月の謡本をひもとき読んでいました。
 キリの部分、リズムがよくて好きで、ついつい鼻歌状態なのですが、節をつけずに読んでいると何とも哀れ。。
天狗=山伏なのか、芸人なのか、とにかく悪者にさらわれ、連れまわされ、悲しい思いをし恐ろしい目に遭い……。はっきり言って、誘拐され、拉致されてお稚児さんと言う立場に立たされているのです。
 ご陽気な感じのテンポ・リズムについ、浮かれてしまうけれど何とも悲惨なこれまでの人生……、作者不明ですが、この作者さん、暗い曲にはしたくなかったのかもしれませんね。花月くん、とても素直な子のようなので、父上と一緒に楽しい人生を送れていることを祈るばかりです。

参考文献

『新古典文学大系』岩波書店
『すぐわかる能の見どころ−物語と鑑賞139曲』東京美術 村上湛
『能の表現−その魅力と鑑賞の秘訣』草思社 清田弘


(文責:小梅)

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