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上掛り:観世・宝生 下掛り:金春・金剛・喜多 この曲ではワキ方の出家の理由に、その差がちょっと出ます。 上掛り:我が子が行方不明になってしまったので、“これを出離の縁と思ひ”出家し、諸国を修行して回っている。野山に臥すような生活が、安住の境涯だと考えている。 下掛り:我が子が行方不明になってしまったので、“それよりあぢきなく候ひて”出家し、人の集まる都にこの行方をたずねてやってくる。野に臥し、山に泊ることは道行である。 このワキ方の立場によって、花月を自分の子と見とめたときの態度も少し違うようです。 上掛りでは、諸国行脚の道すがらの偶然に驚き、先ず身元を確認してから喜ぶ。 下掛りでは、探し当てたことに対して、素直に喜びを表す。 (文責:小梅) |