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烏帽子折 ◆あらすじ ◇配役 前シテ:烏帽子折 前ツレ:烏帽子折の妻 ワキ:三条吉次 ワキツレ:吉六 子方:牛若 後シテ:熊坂長範 後ツレ:立衆 アヒ:早打、宿の亭主、火振り ◇季節 秋9月 ◇場所 前:近江国鏡宿 後:美濃国赤坂宿 三条の吉次が、商売のために東方へ向かおうとしているところに、とある少年が一緒に連れて行ってくれるようにと頼む。 この少年こそ、鞍馬寺を飛び出した(16歳になる)遮那王・牛若丸。 本来ならば商人と主従となるなど考えられないことではあるけれども、何をおいても京都を離れなくてはならない状況の下、東へと進み、東山道は近江鏡の宿に到着した。 ここは現在の滋賀県竜王町鏡。 宿とした白木屋で、牛若丸は追っ手が来たことを知る。 稚児の姿のままでは、すぐにみつかり捕らえられるであろうことを考え、追っ手の目を欺こうと元服して髪を切り烏帽子をつけることを思いつき、烏帽子屋を訪れる。 烏帽子屋で何としても左折のものを所望する牛若丸。この平家一色のご時世に、源家の象徴の左折を望む若者を不審に思う烏帽子屋。左折の烏帽子について語り始め、そして程なく烏帽子が出来上がる。 烏帽子を召す牛若。その姿はたいそう気高く立派である。そして烏帽子の代金に、持っていた刀を渡す。 あまりに見事なものを賜り驚き、妻を呼び寄せる烏帽子屋。妻はそれを見て落涙する。 この妻は実は、源義朝に仕えた鎌田正清の妹であり、その刀は自分が使者として牛若丸が生まれたときに渡したものであったのだ。 妻はこの少年が牛若だと察し、牛若もこの女あこやの前を思い出す。 再会を果たした二人であるが、夜明けとともに牛若は奥州へと発つ。 <前シテ・前ツレ中入り> 牛若たち一行が赤坂宿に着いたことを聞きつけて、そのところの悪党熊坂長範たちが夜討にやってくるらしいということが知らされる。そこで吉次たちは早々に宿を発とうとするが、牛若は自分が斬り伏せると言ってとどまらせ、夜襲に備える。 そこに熊坂の配下の小盗がやって来る。少々辺りを荒らし様子を伺っていると牛若を見つける。持って来た松明を投げ入れてみると、宙で切り落とされ、踏み消され、投げ返され・・・尻込みして帰ってしまう。 とうとう熊坂と手下達がやって来た。松明の話を聞いて一度は引き返そうとするが、それも名折れと攻め入る。まずは手下達。牛若と戦ってはバタバタと切り倒される。そしてようやく熊坂の登場・・・しかし、やはり、切り倒されるのであった。 (文責 小梅) |
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