今月の特集曲

はじめに
皆様は「大会」って観た事がありますか?
…ていうか、知ってますよね(^o^)丿「たいかい」ではありません、「だいえ」です!
そもそも、何故、今、「大会」なんですかね(笑)

今回の特集を任されて、手元にある 権藤芳一 著 「能楽手帳」を開きましたが、載っていませんでした(^_^;)
…ということで、頼りになるのは『観世流謡曲続百番集』のみです。持っててよかったです。


…というわけで、「大会」ストーリーのはじまりはじまり。パチパチパチ!


「大会」ストーリー
 SCENE1

●場  面
 いつの季節か不明。とにかく静かな比叡山のとある庵室。
 月が綺麗な風が吹く夜。苔の小径。水辺。

●登場人物
  シテ 山伏(実は天狗)
  ワキ 比叡山の僧正

山伏 こんばんは〜。ごめんください〜。
僧正 なんや、静かで気持ちようなっとるとこやのに。はて、どちらさんですか?
山伏 以前に命を助けてもらった者です。東北院の辺りで、覚えてはりませんか?ずっと、お礼をと思っていたのです。何でも望みを叶えますけど、どうでしょう?
僧正 そんなことありましたかいなぁ。そう言われても望みて…。そやなぁ、
お釈迦さんが霊鷲山でしはった説法の様子なんか拝んでみたいけどなあ。
山伏 それでよろしいんですか。それならすぐに拝んでもらいましょう。そやけど本気になって信心をおこさんように、くれぐれもよろしゅう頼みます。
さあ、あの杉の木のところに行って目をちゃんと閉じて待っていて下さい。
お釈迦さんのお声が聞こえたら、目をあけて見てくださいや〜。

木の葉がさっと吹き上がり、山伏は雲霧たちこめる山中の梢に上り谷に下り消え去ってしまう。

 SCENE2

●場  面
 多くの人が集まる法会。地面は金や宝石で埋め尽くされ、木々には宝物がなっている。
 美しい調べと法話の声が聞こえてくる。

●登場人物
  シテ 天狗(お釈迦さんに扮している)
  ワキ 比叡山の僧正
  ツレ 帝釈天

僧正 あれあれ、不思議な綺麗な音楽が聞こえてきたなぁ。ちょっと目を開けてみよか。
おー!マイゴット!ハレルヤ! ここは霊鷲山やないか!
お釈迦さんが獅子の座に居てはるやん。法華経の説法してはるで。左右には普賢文殊さん、天人さんが雲に並んで居てはるわぁ。わー、お花が降ってきた!
なんとありがたいぃ〜。最高。感激して涙が出てくるなぁ。おもわず合掌合掌。

その途端、地響きがして大地が揺れる。帝釈天さんが憤慨して天より降りてきたのだ。

天狗 ちょっとちょっと、アカンやん。ちゃんと言うといたのに!本気になって涙なんか流して!帝釈天さん怒ってはるで、どうしょう〜、やばいよ〜。
帝釈天 とても怒ってるゾ。プンプンプン。こんな子ども騙しの魔術を使いよって。
やめーい!エイヤァーっと!

壮麗な大会の光景は一気に消えてしまう。もとの比叡山の夜である。

天狗 わー、逃げろー。羽風を立てて飛んで逃げるぞ。あれれ、羽がもつれて、ねじれて、飛ばれへん。仕方ない、岩を伝って下って逃げるぞ。それでは、さいなら〜。

ちょんちょんちょん♪   おしまい♪


(文責:りり)

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