今月の特集曲

『竹生島』のお話し

延喜代(901〜923年)の春半ばのことです。
醍醐帝の朝臣(ワキ)が、春休みをいただいて、お伴と2人、竹生島へとお参りの旅に出ました。
朝臣達が琵琶湖のほとりまで来ますと、ちょうど老いた漁師(前シテ、老人)と年若い娘(前ツレ、娘)の乗った釣舟が朝臣達の方へやって来ました。
朝臣達は、お2人にお願いして、釣舟に同乗させてもらい、琵琶湖ののどかな春景色を楽しんでおりますと、やがて竹生島へと着きました。
老人は、朝臣達を案内し、色々と説明をしました。
その内、女人禁制の島へと一緒に上がって来ていた娘が、社殿の扉の内へと入ってしまいました。すると老人までもが、波間に消えてしまいました。
お2人は「人間でない」と言い残して…。

そうこうしておりますと、社人(アイ)が、朝臣達の所へとやって来ましたので、朝臣達はお話を聞いたり、また宝物を拝観させていただいたりしておりました。

すると突然、光は輝き、音楽は流れ、弁天様(後ツレ)が現われました。弁天様は衆生済度の誓いをたてて、優美に天女の舞いをなし、再び社殿へと入ってしまいました。
続いて、龍神様(後シテ)が現われました。
龍神様は、国土守護の誓いをたてて、豪快に舞いをなし、朝臣に金銀珠玉を捧げて、湖水へ飛び込んでしまいました。

『竹生島』のポイント

一番目物であるが、重厚・荘厳・神々しさ・品格を重んじるよりも、流派の小書きによって後シテとツレが入れ替わる演出があるように、華やかでスピード感のある寿のある曲目である。

(文責 めぐ)

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