「安達原」の内容
驚愕の三面記事
〜嘆きと怒りの事件簿 in謡曲『安達原』〜


 秋、陸奥国安達原(現福島県二本松市大平観世寺)の庵から多数の身元不明の変死体が見つかった事件で、捜査本部は、同庵女あるじが事件に関与している疑いが強いとして、殺人及び死体遺棄容疑で同女の行方を追っている。

(これより本題)
 調べによると、第一発見者の能力を含む紀伊国熊野の山伏阿闍梨祐慶の一行が、諸国行脚の途中、宿泊拒否後の交渉の末、同庵に宿泊した。
 当初、同女は一行の求めに応じて、枠かせ輪で糸尽の唄を謡いながら糸繰りを見せていたが、夜更けになると、一行のために焚火用の木を取りに行くと山へ向かった。
 その時に自身の「閨を見るな」と強く言い残して、出かけていった。
 前記能力は不審に思い、阿闍梨の許可を得ぬまま、同女の閨を覗き見、多数の遺体を発見したものである。
 一行は「鬼の住処」と思い、一旦は同庵より逃げるも、同女の追跡にあい、違約を避難され、恨み言を述べられ、嘆きながらの襲撃にあったものである。
 一行は、懸命に祈祷するも、同女を完全に調伏し得ず、同女は恨みを残したまま行方知れずとなったものである。

(文責:めぐ)

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